ヘヴィメタル要素の濃いスクリーモ、と言う当初の音楽性をどんどん変化させているカリフォルニアの4人組、「Fire」「Water」と題されたEP2枚組と言う体裁を取っての5th(来年リリース予定の「The Alchemy Index Vol.3&4」は当然「Earth」「Air」の2枚組になると思われ)。基本的なスタイルは骨子は前作「Vhiessu」と同様だけれども、「メタルともグランジともエモとも微妙に異なる謎ヘヴィネス」と「00年代プログレ的で宇宙っぽい浮遊感と孤独感」の二要素を「Fire」と「Water」で綺麗に分割してみせる、と言う実験的な構成を取っている。アメリカのバンドとは思えんほどの陰鬱さとまさに冷たい炎のような烈しさを併せ持つ黙示録的ムードは相変わらずで、2枚12曲50分を通じて息苦しいくらいの緊張感を保つ集中力はさすが。ただ、方向性を分割したために音楽の密度と言うか濃ゆさはやや薄れたような……こういうコンセプトなのでこれ一枚では完結していないと言う弱みがある、とも思う。でも、基本的に俺はこういうのが大好きなので細かい弱点はさして気にならないのです。独特なヘヴィネスがすごく格好いい。
一昨年に出していた前作「Vheissu」からしてそうだったけれども、Porcupine Tree とか Oceansize とか Pure Reason Revolution とか、相当そっち側に近い、と言うよりも完全にそっち側な感じになっている。それなのに全米チャートで初登場24位なんだそうですよ。謎。
それにしても、このアルバムタイトルとこのコンセプトとこの音楽性、妙な方向に全力疾走と言うか、やり過ぎ感が漂っていて好きです。